本気の教育

狩猟型成果主義ではなく、農民型指導

目の前の子供たちに来る日も来る日も声をかけ、心に生えたマイナスの雑草を抜いてやり、休むことなく励まし続ける。基礎、基本を何度も何度も繰り返し教える。

毎日毎日、来る日も来る日もコツコツと、が原則。

狩猟型指導者から育った人は、外見だけつくろい、見えないところは手を抜く。

農民型指導者から育った人は、表裏なく頑張る。

教育は、人が人にどれだけかかわれるかが勝負。

 

日本一レベルの選手は、質と量の練習に加えて、なぜ、なんのために練習するのかという目的や理念をはっきり持って心を鍛えている。

 

優れた指導者は、個人のレベルを正確に把握し、成功曲線に沿って、結果が出る瞬間、レベルアップする瞬間をしっかり見届けることができる。量の練習をやらせっぱなしにするのではなく、量から質へと切り替える要所要所を見逃さない。これが大きな信頼関係を築く。

 

一番ダメなのが遠慮。深くかかわらないムード。子供に遠慮して本気で関われない教師が、子供をダメにする。

 

理念や志を持って仕事に生きる。未来のあるべき自分の姿を描いて突き進む。心の利益を重んじる。長所を磨いて、それを人のために役立てる。日々、心をつくり、心を高めるために努力する。体をつくり、健康維持に努める。職場でも家庭でも、みんなの生き方モデルとなる大人をめざす。

仕事でも生活でも、自分をめぐるあらゆることに、よりよき道を追求し続ける。経験で得たより良い方法は惜しまず提供し、それを広げることに努める。よいと思うことは心からほめ称え、悪いと思うことは遠慮なく指摘する。心を開いて笑顔で接する。元気を与え、元気をもらう。心で接し、心でかかわる。

 

子供を変えようとする前に、自分自身が変わろうと思い日々努力する。

子供たちに「本気」が伝わったとき、信頼が生まれる。

 

厳しさは「優しさ」でもある。

 

教師の役割は、子供たちに物事の本質や特性にふれさせて、本当の「楽しいさ」「面白さ」を教えること。

 

一度、子供たちに媚びると、次にビシッとできなくなる。もう下がっていくしかなくなる。

 

まず大切なのは、子供たちの心のコップを上向きにすること。そのためには、人の話をきちんと正しい姿勢で聞くという態度を培う「態度教育」が必要。

態度・行動を変えると心も変わる。

クツをそろえる

イスを机の中に入れる

カバンを立てる

元気のいい弾んだ「ハイ」という返事

人より早くあいさつをする

背筋をピンと伸ばした姿勢

10回でダメなら20回。20回でダメなら30回。30回でだめなら40回と、これらを確実にできるようになるまで、粘り強く何度でも教え続ける。教師は、本気で「やらせきる力」が求められる。

できたらほめる。できなかったら教える。この繰り返し。

「先生には勝てない。絶対にあきらめない。」子供たちにそう思わせたら勝ち。みんながきちんとやれるようになる。

大切なのは、指導を途中でやめないこと。子供たちが、自分たちで考えて動けるようになるまでは、確かに大変でしんどい。しかし、この山を越えなければ、いつまでもしんどいまま。そのうちにできるようになる、という状況はありえない。

「やらせきる教師の覚悟」が、自立型人間育成に向けての教育のスタート。

 

物事を右肩上がりでずっとやり続けていくためには、自分の意識レベルを常に高めていかないとだめ。自分自身の心を変容させ、意識というものを変えていかないと対応できない。

 

態度教育と教科研究の研鑽は、車の両輪と同じ。どちらかが一方でも欠けたら絶対にだめ。

 

結局は、自分自身がいかに向上していくかという姿勢にかかっている。教師自身が、常に自分を高め、少しでも成長していこうと努力する。その姿勢を子供に示していないかぎり、子供たちの成長はない。